治療開始時期の目安


 3〜5歳
 6〜7歳
 8〜9歳
 10〜12歳
 13〜18歳
 19〜50歳
 50歳以上

歯の生えかわりの状態は個人差があります。表にある「年齢」はある程度の目安とお考えいただき、「主な症状」から「対処法」を参考にされてください。

年齢

主な症状

対処法

3〜5歳

前歯だけ反対咬合

乳歯の前歯が永久歯に生え変わる際に、自然に治る場合がありますから様子を見ます。
上下の前歯が永久歯に1〜2本生え変わった時、同じように反対咬合であれば受診する。

前歯だけでなく左右どちらか一方の奥歯も反対咬合。
顎が左右どちらかに曲がって見える。
上下の前歯の中心線が2ミリ以上ズレている。

自然に治る可能性は少ないので、この時期でも早めに受診が必要です。
そのままにしておくと、顎が曲がって発育する恐れがあります。

前歯が出ている。咬んだとき、上下の前歯が合わさらない(隙間がある)。

指しゃぶりの原因が多いですから、5歳をめどに徐々に止めるようにして下さい。この時期までに止めれば自然に治ることがあります。
もし上下の前歯が1〜2本、永久歯に生え変わった時点で前歯が出ている場合は、他の原因が考えられますので受診が必要です。

噛んだときの前歯の状態で、上の前歯に下の前歯が隠れてほとんど見えない。

保健所の3歳児検診でも見逃されてしまうことがあります。前歯の咬み合わせが深いため、特に下顎の発育が悪くなり将来、永久歯がデコボコになる場合があります。
上下の前歯が永久歯に1〜2本生え変わった時、異常があれば受診が必要です。

ところどころの乳歯の間に隙間がある。

これは異常ではなく正常です。将来生えてくる永久歯は乳歯より大きいので正常と言えます。
ただし上の真ん中の左右の乳歯の間に隙間がある場合は、小帯(しょうたい)の位置異常が考えられます。永久歯の上の前歯が左右で合計4本生え変わった時点で、まだ隙間があれば受診が必要です。

乳歯がデコボコしている。重なっている。

現時点ですでに顎が狭い(小さい)と思われます。永久歯は乳歯よりサイズが大きいですから、将来デコボコした歯並びになる可能性が高くなります。
上下の前歯が永久歯に1〜2本生え変わった時、異常があれば受診が必要です。

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年齢

主な症状

対処法

6〜7歳

前歯が反対咬合(下の前歯は永久歯で上の前歯はまだ乳歯の場合)

上の前歯が永久歯に生え変わる時に、自然に治る場合もありますので様子を見ます。
しかし上の1番目の永久歯が生えた時点でやはり反対咬合の場合、以下を参照してください。

前歯が反対咬合(下の前歯4本と上の1番目の前歯が永久歯に生え変わった。この時点で反対咬合の場合)

自然に治る場合と治らない場合がありますから様子を見ます。自然に治らないケースの場合が心配だと思いますが、この時点で仮に上の1番目の前歯の反対咬合を治したとします。しかし、その後生えてくる上の2番目の永久歯がやはり反対咬合になる可能性があります。そうなると継続して治療が必要となりますので、治療期間が長くなりお子様には負担が増えることになります。
上の2番目の永久歯が出て来るまで様子を見ます。この時期まで待って自然に治らない場合は受診します。

下の前歯で中心から2番目の永久歯が内側に生えてきた(デコボコした下の前歯)。

よく相談を受けるケースです。これも自然に治る場合と治らない場合がありますので少し様子を見ます。 上の2番目の永久歯が出て来るまで様子を見て、この時期まで待って自然に治らない場合は受診します。

「自然に治る場合」とは、子供ですから歯の土台となる顎が成長し(広がり)隙間が出来ることにより、 内側に生えてきた2番目の歯が舌に押され外側に動き治るケースです。

ご注意:よくこの状態で「内側に生えてきた2番目の永久歯の奥にある乳歯(乳犬歯)を抜けば自然にデコボコが治ります」 という説明のもとに乳歯を抜歯されることがあります。 しかしこれには賛成できません。
確かに奥の乳歯を抜けばそこに隙間が出来ますから内側に生えている2番目の永久歯は下に押されある程度外側に動くかもしれません。 しかし次に出てくる3番目の永久歯(犬歯)はどうなるのでしょうか? 本来出てくる場所(隙間)は手前の歯に占領されていますから、出る場所がなく外側あるいは内側に飛び出すしかないのです。 問題を先送りしているに過ぎません。 乳歯もきちんとした存在価値があります。必要以上に早く抜くと顎の自然の発育を妨げてしまい逆効果になります。

上の歯で左右の1番目の永久歯の間に2ミリ以上の隙間がある。(2番目の永久歯はまだ出ていない)

・自然に治る場合と治らない場合があります。
 上の2番目の永久歯が出てくる時に自然に治る場合がありますので、それまでは様子を見ます。しかしこの時点で治らなければ、上顎前突(出っ歯)や小帯(しょうたい)の位置異常や過剰歯などの原因が考えられますので受診します。

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年齢

主な症状

対処法

8〜9歳

上の前歯で中心から2番目の永久歯が内側に生えてきた(デコボコした上の前歯)。この2番目の歯が反対咬合になっている。

現代人に多くみられる症状です。歯が収まる場所の顎が小さく(狭く)、逆に歯が大きいとアンバランスを生じるからです。下の2番目の前歯が内側に生えてきた場合と違い、自然に治るケースは少ないので、受診の時期です。

前歯が反対咬合(下の前歯4本と上の前歯4本が反対咬合の場合)

自然に治る可能性はかなり低いので早めの受診が必要です。

ご注意:この状態(反対咬合)を3〜4年放置すると、下顎だけが異常に発育(長く)してしまい、顔立ちにも悪影響を及ぼす可能性があります(例として横顔が受け口や三日月顎)。
また家族や親戚で受け口(下顎が長い)の方が多い場合は遺伝の可能性もありますから要注意です。いずれにしても早めに受診する必要があります。

上の前歯が出ている(上の前歯4本は永久歯になっている)。前歯が大きく見える。上と下の前歯が合わさらない。
普段口があいてしまう。

自然によくなるケースは少ないですから早めの受診をおすすめします。

原因として歯が収まる顎が狭く(小さく)、そこに大きな永久歯がでようとすると、顎から歯がはみ出してしまい出っ歯になる場合が多く見受けられます。鼻がよくつまり普段口呼吸が習慣になっている方も、顎の発育が悪くなります。またこの時期に指しゃぶりや爪かみが続いているようでしたら、すぐに止めさせて下さい(さらに悪くなる危険があります)。

もう一つよく見られる原因として、上顎と下顎の発育のアンバランスがあります。受け口は、バランス的に上顎よりも下顎が大きく、前に出ているのですが、この逆で上顎よりも下顎が小さく引っ込んだ位置にあると、上の前歯は出て見えてしまうのです。遺伝の可能性もあります。

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年齢

主な症状

対処法

10〜12歳

小学生 高学年

奥の永久歯が内側あるいは外側に出てきた。

上の犬歯が外側にはみ出して出てきた(八重歯)。

全体的にデコボコの歯並び。(奥の乳歯はまだ数本残っている)

さらに悪くなる場合が多いので、早めの受診をおすすめします。

顎が狭くて(小さくて)、歯が収まりきらないためデコボコした歯並びになっていると思われます。
よくあるご質問に、これから中学にかけて身長も伸びるので、狭い顎も広がり自然によくなるのでは?があります。残念ながら歯が収まる部分の顎の発育については、小学校の高学年の時代でほぼ終了してしまいます。
これらのデコボコが解消されるほど大きくはならないのです。この状態を放置しておくと、さらに悪くなる場合が多く見受けられます。

前歯がかなり出て見える(出っ歯)。

普段口があいてしまう。

口を閉じようとすると口元がコワばってしまう。

夜いびきをかく。

さらに悪くなる場合が多いので、早めの受診をおすすめします。

主な原因は、上記の「8〜9歳の項目」の中で、症状が「上の前歯が出ている(上の前歯4本は永久歯になっている)」の説明と同じになります。

つまり上顎が狭くて前歯がはみ出して出っ歯になっている場合と、上顎に比べ下顎全体が小さくて引っ込んでいるため上の前歯が出っ歯に見えてしまう場合です。
いずれの場合も悪化することが多く受診が必要です。
矯正を始めるいい時期です。

前歯が反対咬合(奥の乳歯がまだ数本残っている)。

さらに悪くなる場合が多いので、早めの受診をおすすめします。

ご注意:これから下顎全体の骨(歯並びに必要な骨のことではありません)が成長のピークを迎えます。放置すると下顎全体が異常な発育をしてしまい、受け口がさらに目立つようになる、あるいは三日月顎になる危険性があります。下顎は身長が伸びる骨と同じですから、身長が伸び盛りのこの時期は要注意なのです。
成長のピークの始まりは年齢的に女子の方が早く、男子は少し遅れて現れます。

顔が左右非対称に見える。

さらに悪くなる場合が多いので、早めの受診をおすすめします。

ご注意:これはもともとかみ合わせが原因していることが多いです。上顎と下顎が変形して成長してしまうため、顔が左右非対称に見える場合があります。特に下顎の成長のピークが始まる時期ですから悪化する危険性があります。要注意です。

前歯にまだ乳歯が残っている。

この時期に前歯の乳歯が残っているのは何か異常があることが多いので、受診が必要です。

前歯は永久歯だが、まだ奥の乳歯がたくさん残っていて、なかなか永久歯に生え変わらない。

以前に虫歯がひどく奥の一部の乳歯を抜いてしまった、乳歯の虫歯を治療しないでそのままにしていた、などがなく多くの乳歯が残っている場合はこのまま様子をみます。正常に生えかわる可能性が考えられます。

ただし奥の一部の乳歯を以前に抜歯をして、そのままにしてある、多くの乳歯を虫歯で治療した経験があるなどの場合は早めに受診して下さい。

親からみて今は悪くなさそうに思うが、今後の歯並びや咬み合わせがなんとなく不安

肉眼で前歯はある程度見えますが奥歯はよく見ることができません。確認の意味で受診されたらどうでしょうか。
この時期は普段よく見えない奥歯の永久歯が生えかわりますから、正常かどうかの説明も受けられます。

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年齢

主な症状

対処法

13〜18歳

中学生

高校生

歯並びがデコボコ。
八重歯。
反対咬合。
歯が合わさらない。
前歯が出ている。
口が閉じにくい。
いびきをよくかく。
歯に隙間がある。
顔が左右非対称

受診され患者さん自身がよく説明を聞かれることが大切だと思っています。 小学生の時代と違い、どうして自分には矯正治療が必要なのか、治療するとどのようなメリットがあるのか? など…先生の話をよく聞いて少しでも「やる気」が出てくれば前に進んでください。 親と先生だけが決めるのではなく、患者さん自身の意思を尊重しています。

歯並びに必要な部分の顎が狭い(小さい)のに対して、歯が大きい場合は、歯並びがデコボコしたり八重歯になったり、 前歯が顎からはみ出したりします。

また、12歳臼歯といって、12歳ころ一番奥にもう1本大きな歯が生えてきます(第二大臼歯といって親知らずではありません)。 狭い場所に出ようとするので、前方の歯が圧迫されこの時期に歯並びやかみ合わせがさらに悪くなることがあります。 中学、高校になるに従いさらに歯並びが悪くなるのはこの歯が原因していることが多いのです。

勿論この時期でもきれいに治りますが、歯が収まる部分の顎の骨の成長はほぼ終了していますので、 小学生の時代よりも歯を抜いて治療しなければならないケースが増えてきます (小学生から矯正を始めたとしても、患者さんによっては、将来歯を抜いて治療しなければ治らないケースもあります。 もし歯を抜いて治療しても、後で何か後遺症がでることはありませんので心配いりません)。

学業や部活等で忙しい時期ですが歯も大切です。きれいな歯並びや口元、将来素敵な笑顔で社会に出られるよう頑張ってみましょう!

英語の発音が苦手。
滑舌が悪い。

ある種の不正咬合や舌小帯が原因で、正しい舌の動きができない場合によく見られます。
日本語では特に「タ行」と「サ行」の発音が不明瞭になります。英語の発音が苦手になることが多い。
矯正治療と舌の簡単なトレーニングが必要です。(特に舌のトレーニングは大切でマンツーマンで指導しています)。

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年齢

主な症状

対処法

19〜50歳

大人の矯正治療

歯並びがデコボコ。
反対咬合。
歯が合わさらない。
前歯が出ている。
口が閉じにくい。
いびきをよくかく。
歯に隙間がある。
顔が左右非対称。

受診されよく説明を聞かれることが大切です。

顎の成長や歯の生えかわりも終了していますので、歯並びやかみ合わせは、徐々に悪くなっていくと考えていいと思います (ただし親知らずの影響で急に悪くなることもあります)。

<大人の矯正治療の解説>
近年の治療技術の進歩は著しく、大人でも十分に矯正治療は可能で満足のいかれる結果が得られると思います。

●子供の矯正治療との違いは?
@歯の動きが遅いので子供に比べ治療期間が少し長くかかります。
A注意すべきは歯周病
大人の矯正治療で注意すべきは歯周病です。もし重度の歯周病の患者さんにいきなり矯正治療を始めると、一気に症状が悪化します。 ですから手順としては、まず一般歯科で歯周病の治療を十分行い、その症状が収まってから矯正に進むべきです。
B抜歯が必要となる可能性が高くなる
歯が収まる部分の顎の骨の成長は終了していますので、子供に較べて歯を抜いて治療する可能性が高くなります。

●治療の途中で妊娠されたら?
全く問題ありません。妊娠8ヶ月くらいまでは通常通り治療が可能です。体調を考え出産前後の3ヶ月ほど治療を中断しています。
また大人の場合、症状によっては簡単な外科手術も併用することがあります。 このホームページは大人の方の治療例も多く掲載しておりますので参考にして下さい。

発音が悪い。
言葉を他人がよく聞取れない。

ある種の不正咬合や舌小帯が原因で、正しい舌の動きができない場合によく見られます。
 日本語では特に「タ行」と「サ行」の発音が不明瞭になります。英語の発音はさらに悪くなります。
 矯正治療と舌のトレーニングが必要です。(特に舌のトレーニングは大切でマンツーマンで行っていきます)。

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年齢

主な症状

対処法

50歳以上

歯並びがデコボコ。
反対咬合。
歯がすりへっている。
出っ歯。
口が閉じにくい。
いびき。
ところどころに隙間がある。

受診されよく説明を聞かれることが大切です。

十分に通常の矯正治療が可能です。 しかし患者さんによっては気力や体力がやや衰えてくる年代です。 細部にわたる全体的な治療ではなく、部分的な治療である程度症状が改善できる場合は、そちらも提案しています。
よく咬める。残っている歯を長持ちさせることに主眼を置いた治療をすすめています。

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